• 2022/03/23
  • 院長のひとり言
痛みと快感は紙一重

鍼治療をやっていると
「あっ痛い!」とか
「あっそこそこ!」
などと

鍼のズーンとした「響き」に対して患者さんが
痛いと感じる場合と気持ちいいと
感じる場合があるが


そもそも痛みと快楽は紙一重なのだ

マッサージでも
初めは優しい刺激で満足していても
慣れてくると肘や足で
痛いほど刺激しないと
快感を得られなくなる

本来なら痛いと感じるほど
押さえつけられて踏みつけられて
「気持ちいい」と快感を得る

痛覚は五感(触覚・嗅覚・味覚・聴覚・視覚)
とは区別されているが

これは痛みを感じるシステムが
あまりに複雑で
単なる感覚では説明できないからだと思う

ある人は痛いと感じ

またある人は気持ちいいと感じる

まるで「ハグしてもいいですか?」と
中年の脂ぎったおじさんに言われると
鳥肌が立ってセクハラになるが

大好きなアイドルから言われると
失神するほどの幸福を感じるのと同じだ

そう考えると痛みは感情とも
連動しているのが分かってもらえるだろう


鍼のズーンとした響きを経験して
この「感じが効くのだ」と思っている人は
「あーそこそこ」と気持ちよく感じ

体に鍼を刺すことに恐怖心と警戒感が
ある人はどんな軽微な感覚であっても
「痛い」と感じてしまうのだ

人の感情と身体の関係はとても
複雑にできていて
簡単に理解できるものではない

美味しそうなカレーライスの
写真を見ると

瞬く間にカレーのスパイスの良い香りと
辛くて美味しい味まで想像できて
一気に唾液がわいてでる

脳は対象物に対する印象や
過去の経験によって
嫌な印象のあることに対しては痛い
良い印象のあることに対しては気持ちいい
と感じるように変換するようだ

だから同じ刺激に対して
ある人は痛いと感じ
ある人は気持ちいいと感じる

痛みと快感は紙一重なのだ







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